3.ルートヴィッヒ・ボルツマン(1844~1906年

(wikimedia)

ボルツマンはオーストリアの物理学者です。当時は、物質が原子や分子などの小さな粒子で出来ているということは信じられていませんでした。しかし彼は、この粒子の存在を仮定し、温度や圧力がこれら粒子のミクロ的な運動によって生じたものであることを説明しました。

彼は、数億以上におよぶ大量の粒子の動きを統計にとれば、温度や圧力、気体の広がる速度を予測できることを提唱したのです。この研究は統計力学と呼ばれ、彼が発端となって始まった学問です。

(↓例えば箱の中の粒子の運動が激しければ激しいほど、温度は高くなる)

(WikiPremed)

彼の研究の中で最も知られているのが、ボルツマンの関係式と呼ばれるものです。この関係式が、ミクロの世界(分子と原子)とマクロ(温度や圧力)をつなぐものとなりました。

現在ではこれらの法則は受け入れられ、彼は偉大な科学者として認められていますが、ボルツマンが生きていた当時は、受け入れられることがありませんでした。彼は生涯、その法則が正しいこと訴え続け、学会では激しい論争を繰り広げたとされます。

そのストレスのせいで、気分が異常に高揚する躁状態と気分が落ち込む鬱状態を繰り返す「双極性障害」で苦しむことになりました。こうして1906年、彼は静養中のイタリア旅行で、自ら首をくくったのです。